「『離婚したい』そう思ったその後の手続きは弁護士が居ないといけないの?」
離婚を扱う弁護士は多くいますが、そもそも離婚自体は離婚届一枚を役所に提出すれば、即日離婚する事自体は可能です。にもかかわらず、こんなに離婚事件を扱う弁護士が多い理由には、離婚に際して以下のようなポイントがあるからなのです。
■離婚するためのステップ1:相手方の同意
当然ですが、離婚するためには相手方である配偶者も離婚に同意していなければなりません。万が一相手が離婚に反対している場合は、相手方と裁判外で根気よく交渉するか(協議離婚と言います)、または調停離婚、審判離婚、裁判離婚など裁判所を利用した手続きを踏まなければ離婚する事はできません。
ちなみに、相手方が離婚に反対している場合、裁判所に離婚を認めてもらうためには、法律で決められた「離婚原因」に必ず該当していなければなりません。
具体的には以下のような場合にのみ、裁判によって離婚が認められます。(民法第770条)
○その1:不貞行為
不貞行為とはつまり「浮気」や「不倫」のことです。これらの事実があった場合は、離婚を請求できますが、相手方が離婚に反対している場合は、離婚を請求するこちら側が、配偶者側の不貞行為があった事実を主張立証しなければなりません。昔は探偵や興信所を利用して決定的な証拠を入手する事もありましたが、最近ではSNSなどに証拠が残る事もあるため、こういったものを証拠として提出する事もあります。
○その2:悪意の遺棄
正当な理由がないのに、相手と別居したり、働けるのに働かない、生活費を渡さない、家事の放棄などがこれにあたります。
○その3:配偶者の生死が3年以上不明の場合
民法上、3年以上生死が不明な場合は、結婚生活が破綻しているとして離婚が認められます。ただし、生存が確認できている場合はこれには該当しません。その場合は、「その2」に該当する可能性があります。
○その4:配偶者が酷い精神病で治る見込みがない。
具体的には、躁鬱病(そううつびょう)、偏執病(へんしゅうびょう;パラノイア)など重度なものに限られます。ただのノイローゼやアルコール中毒では認められません。
○その5:その他結婚を続けていかれないという重大な理由があるとき
1〜4には該当しない場合で、裁判所が離婚を認める場合は、この条文によって離婚を言い渡します。例えばDV(ドメスティックバイオレンス)やモラハラ(モラルハラスメント)などがこれに該当する可能性があります。ただし、一般的に多い「性格の不一致」については簡単には認められない傾向にあります。
これらはあくまで相手方が同意しない場合ですので、同意していれば原因に関係なく自由に離婚ができます。
■離婚するためのステップ2:離婚条件の決定
実は、夫婦関係が破綻している場合、一番揉めるケースがここです。
離婚条件とは、主に次のような項目があります。
○ 財産分与
○ 慰謝料
○ 養育費
○ 親権
○ 監護権
○ 面会交流
さらに、熟年離婚の場合は
○ 年金分割
○ 退職金分割
そして、このなかで必ず決めなければ離婚ができない項目があります。それが「親権」です。
実は、親権は未成年の子供がいる場合、離婚届の必須記載事項となっており、書かなければ受理をしてもらえません。逆に言うと、その他の事項については、たとえ話し合って取り決めをしなくとも離婚自体は成立します。しかし、これらのことを予め決めておかなければ、たとえ離婚したとしてもずっと問題を引きずる事になってしまいます。
かといって、どうやって決めたらいいのかなんて、一般の方には分かりません。
そこで登場するのが、「弁護士」です。弁護士は、あなたの代理人となって、あなたの利益のために最善の離婚条件で離婚できるよう、相手方と直接交渉してくれます。どのような条件で離婚するかは、離婚後の人生を大きく左右しますのでとても重要なのです。
■離婚するためのステップ3:離婚協議書の作成
「離婚協議書」。これは、先ほどの離婚条件について話し合って決めた内容を、書面として残したものです。離婚協議書の作成は義務ではありませんが、これがないとただの「口約束」にしかなりません。最近では、離婚した後に養育費の支払いが滞るという事例が大変増えております。この場合、離婚協議書が残っていれば、相手もしらばっくれる事はできなくなります。
さらに、弁護士に依頼していれば、離婚協議書を「公正証書」によって作成してもらうことができます。公正証書とは、作成した書類について、国が正式に認めたという「お墨付き」のようなもので、万が一離婚協議書に書いてある養育費が滞納した場合は、裁判所に持ち込んですぐに強制執行、つまり相手の給与などを差し押えて強制的に回収する事が出来るのです。
つまり、調停や裁判によって離婚が成立した場合の調停調書や判決と同じ「債務名義」としての効力がありますので、とても効果的です。
ですので、離婚協議が成立したら、必ず弁護士に離婚協議書を公正証書で作成してもらいましょう。
■離婚するためのステップ4:離婚届の提出
ここまでやって初めて離婚届が提出できます。
離婚する場合のポイントは、「離婚することを目的にしない」ことです。離婚する事自体を目的としてしまうと、焦るあまり先ほどの離婚条件などが蔑ろになったり、適当な条件で妥協してしまったりする恐れがあります。
離婚する上で最も大切な事は、「離婚する事」ではなく、「離婚した後の生活の方が幸せになること」です。離婚と言うとネガティブなイメージが強いかもしれませんが、少なくとも「今よりも良くするため」に離婚を選択するのです。そのためには、先ほどの離婚条件はなにより重要となってきます。
ですから、離婚をする場合は、たとえ相手方と争っていなかったとしても、必ず弁護士に相談して法的な見解を聞くとともに、適切な条件で離婚できるよう交渉してもらいましょう。
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