『離婚』の際の慰謝料の相場とは？考え方を学ぼう！【基本編】

離婚慰謝料のイメージ

「こんな旦那とは離婚してやる」

そう思ったとき、まず頭をよぎることとして「いくら慰謝料がとれるのか」という疑問がふと浮かびます。離婚における慰謝料は、交通事故のように必ず請求できるものではありません。

そもそも慰謝料とは、相手に与えた精神的損害に対する賠償で、離婚においては「浮気」や「不倫」さらには、「DV」「モラハラ」などが原因で離婚する場合に、その原因を作った側に請求する事ができます。（性格の不一致は慰謝料請求の対象ではありません）

ちなみに、慰謝料の他にも、離婚の際に相手方に請求するものとしては、以下のようなものがあります。

○１：財産分与

婚姻期間中に築いた財産は、平等に分ける事が原則です。

○２：養育費

親権を持つことになる親が、もう一方の親に対して子供の養育費を請求する事ができます。この金額は、養育費を支払う事になる親の年収にも影響しますが、仮に年収が５００万円とすると養育費は子供一人で月４〜６万円程度です。あとは、子供が成長するに連れて養育費の相場は高くなる傾向です。

今回は離婚の際に最も揉めやすい「慰謝料」について分かりやすく解説したいと思います。

■慰謝料を請求するために絶対にやらなければならないこととは？

まず慰謝料を請求するには、大前提として相手方に、離婚するに至ったそもそもの「原因」があることが条件となります。
慰謝料請求のほとんどは浮気や不倫を根拠として請求する事になります。これらを法律用語で「不貞行為」といいます。
例えば、旦那の浮気が原因で離婚する場合、妻は旦那に対して慰謝料を請求する事が出来ます。この際、旦那が浮気をした事を素直に認めていればよいのですが、一般的には慰謝料を請求すると、旦那は一転して浮気を否認し始めます。

慰謝料請求の際にまず注意すべき点は、「慰謝料を請求する側が、浮気や不倫を立証しなければならない」ということです。

つまり、浮気をされたと主張する妻が、旦那の浮気を証明しなければならないのです。

これが実に骨の折れる作業となります。

一昔前までは、浮気の決定的な証拠がなかなか揃わず、やむを得ず大金を出して探偵事務所に調査を依頼して、写真等の動かぬ証拠を掴む必要がありましたが、最近では「あるもの」の普及によってこれらの証拠の入手が容易になりました。

それはズバリ「スマホ」です。

最近の慰謝料請求では、スマホのSNSの履歴等から動かぬ証拠が発覚することがあります。ですので、これから慰謝料請求を考えている人は、スマホのSNSから浮気と確証の得られるメッセージの履歴などを予め証拠として確保しておくようにしましょう。

■だれに慰謝料を請求できるの？

当然の事ながら浮気をした旦那や妻に対して請求ができます。

ただ、実はもう一人慰謝料を請求できる相手がいます。それは「浮気相手」です。浮気相手が誰なのか特定できれば、浮気相手にも慰謝料を請求する事ができます。

ただし、次のような場合は浮気相手に対する慰謝料請求は難しいでしょう。

○１：すでに夫婦関係が破綻している状況だった。

浮気相手に慰謝料を請求するには、その浮気が原因で離婚や夫婦関係の破綻に追い込まれたという事実が必要となります。けれども、すでに夫婦関係が破綻している状況の上で浮気がされている場合は、浮気と離婚や夫婦関係の破綻に因果関係は認められないため請求はできません。

○２：浮気相手が既婚者と知らなかった場合。

例えば旦那が未婚だと偽って交際していたような場合は、浮気相手側に落ち度はないので慰謝料請求は難しいでしょう。

○３：浮気相手が支配されていた場合。

職場上の権力、暴力や強迫などによって浮気相手を支配していたような場合も、浮気相手に落ち度がないとされるため、慰謝料の請求は難しくなります。

ただし、これらの詳細は正確に立証することが非常に難しいため、先ほど言ったSNSなどのやり取りの記録がとても重要になります。

なお、離婚をしなければ慰謝料を請求できないということはありませんが、離婚をした方が、慰謝料が認められやすくなったり、慰謝料の金額が高くなったりする場合があります。

■裁判じゃないとダメなの？

慰謝料請求は、必ずしも裁判を起こさなければ請求できないわけではありません。例えば話し合いだったとしても、相手が認めて慰謝料の支払いに応じればそれで問題ありません。
ただ実際は浮気現場を直接抑えたような状況でなければ、なにかと言い訳をして慰謝料の請求を拒むケースが多いので、最終的には調停や裁判となるケースが多いでしょう。

■離婚慰謝料の相場はズバリいくら？

浮気による慰謝料は、交通事故のように算定表があるわけではないので、その金額は人それぞれです。ただ過去のデータから考えると、下は５０万円程度から上は５００万円程度が相場と言えます。

慰謝料の金額は、不貞行為の内容やその期間によっても大きく変わりますが、一番影響が大きいのが「婚姻期間」です。つまり、結婚１年目で離婚されるよりも、結婚２０年目に浮気をされる方が、精神的ダメージが大きいということです。

■離婚慰謝料請求のここがポイント！

慰謝料請求において重要な事は、「いくらが相場か」ではなく「いくらなら支払ってもらえるか」です。
交通事故のように慰謝料が保険金としておりるわけではなく、全額本人の実費負担となるわけですから、たとえ１億円の慰謝料が認められたとしても、実質的にそれが回収できるだけの資力がなければ意味がありません。そのため、相手方に金銭的ダメージを与えられ、かつ、現実的に支払いが可能な範囲の金額というさじ加減が、離婚における慰謝料請求においては非常に重要となります。

およその相場はあるものの、いくらの慰謝料をどのような戦略で請求していくのかはとても重要です。そのため、離婚にともなって慰謝料を受け取っている人の多くは、弁護士に依頼をした人たちです。
慰謝料は、弁護士が代理人となって請求しなければ支払いに応じない人がほとんどですので、離婚で慰謝料を請求したい場合は、できる限りお早めに弁護士に相談しましょう。

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