遺産分割協議・遺産分割協議書のイメージ
遺産相続と検索すると、必ずといっていいくらい頻繁に登場する言葉があります、それは「遺産分割協議書」です。

「遺産分割協議をしたら、遺産分割協議書を作らなければならない」

なんとなくそんな程度には理解していても、実際この書類に、なんのために、どんなことを書くのかはご存知ないのではないでしょうか。

今回は、この遺産分割協議書について、分かりやすく解説いたします。

 

■遺産分割協議書とは、「遺産相続の契約書」である。

 
そもそも、遺産分割協議とは、相続人全員で話し合って、相続財産の取り分を決めることを言います。そして、その話し合った内容を、書面として書き起こすと「遺産分割協議書」になるのです。つまり、遺産分割協議書とは、相続人全員の間で取り交わす「相続契約書」のような意味合いがあるのです。
 
実は、遺産分割協議書は法的には作成しなければならないとは規定されておらず、作りたくなければ作らなくても何ら問題はありません。ただ、実際は以下のような事情があるため、ほとんどの遺産相続において作成されています

 

 

■遺産分割協議書が必要となる2つの理由

○その1:トラブルの回避

 
遺産分割協議書は、遺産分割協議で話し合った分割案を正確に記録しておくという点に意味があります。仮に遺産分割協議書がなかったとすると、遺産分割協議で時間をかけて話し合った内容が、すべて「口約束」になります。

相続財産の中には、一千万円を超えるような高価な財産も複数あるはずです。それにも関わらず、口約束なんかで済ませてしまったら、あとから「言った、言わない」の水掛け論になる可能性は極めて高く、おちおち寝てもいられません。

 

そこで、相続の契約書である「遺産分割協議書」を作成して、相続人全員で署名押印することで、あとからその内容を覆せないよう互いを拘束し、トラブルの発生を未然に防止するのです。

 

実際、遺産分割協議書を作成する際には、相続人全員に印鑑証明書を取得してもらい、実印にて押印してもらわなければなりません。これによって、はじめて相続財産の権利関係が事実上確定するのです。

 

 

○その2:名義変更の添付書類としての必要性

 
相続財産はタンス預金だけではありません。当然銀行にも預金があるはずですし、人によっては不動産を相続するケースもあります。そうなった場合、必ず必要になる手続き、それが「名義変更」です。すべての財産は、亡くなられた被相続人の名義になったままですから、それらを遺産分割協議によって取り決めた相続人の名前に名義変更しなければなりません。

 

この際、預金であれば銀行、不動産であれば法務局に申請書類と一緒に添付しなければならない書類に、この「遺産分割協議書」が含まれているのです。

そもそも銀行の窓口は、だれが預金を相続したかなんて知りません(参考記事:え、お金が引き出せないの!?意外と知らない死亡後の銀行口座の凍結について)から、この遺産分割協議書で確認をするしかないのです。これは不動産の相続登記においても同じ事が言えます。

 

■遺産分割協議書が必要ないケースがあるって本当?

 

それはズバリ「遺言書」が残されているケースです。

遺言書には、各相続人に対する遺産の取り分が明記されていますので、記載内容としては遺産分割協議書とほとんど同じです。有効な遺言書が発見されれば、相続人は遺産分割協議を行なう必要はなく、遺言書を執行する形ですべての名義変更を行う事が出来ます。この際、銀行や法務局には遺産分割協議書の代わりに、遺言書を添付することで代用する事が出来ます

 

ただし、相続人全員が合意のもと遺言書の内容を無視して遺産分割協議をやり直す事も可能です。

例えば、遺言書に「自宅を長男に、預金1000万円を次男に相続させる」との記載があったとしても、長男は現金がほしくて、次男は自宅に住みたいという要望がでる可能性があります。そうした場合は、双方が合意しているのであれば、遺言書を無視して遺産分割協議を行ない「次男が自宅を、長男が1000万円を」それぞれ取得することができます。なおこの際は遺言書と内容がことなるため、名義変更手続きには遺産分割協議書が必要になります。

 

 

■遺産分割協議書は誰がつくるの?

 
遺産分割協議書は、弁護士や行政書士でなければ作成ができないと思われがちですが、実際は相続人当事者が自分で作成してもなんら問題はありません。ただし、記載事項や相続財産にミスや漏れがあると、遺産分割協議を一からやり直さなければならなくなる可能性がありますし、後で相続トラブルに発展するケースもありますので、作成する際はできる限り弁護士や行政書士などの専門家に依頼しましょう

 

なお、遺産分割協議の話し合いが難航していたり、双方の連絡がとれずに進行が遅れたりしている場合は、弁護士に依頼する事で代理人として各相続人との間に入って意見調整や連絡調整を行なってくれます。話がこじれてしまうと、最悪の場合、遺産分割調停や裁判などになってしまうケースもありますので、できる限りはやめに弁護士へ相談しましょう

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