「その日」は意外と突然やってきます。仕事から帰宅したあなたを待っていたのは、すでに妻のハンコが押された「離婚届」だった、なんて話は、最近では珍しいことではなくなってきました。では、万が一、あなたがそんな状況に突如おかれ、離婚届を突きつけられた場合、どう対応すれば良いのでしょうか。
今回は、「離婚したい」と言われてから実際に離婚が成立するまでの流れを、分かりやすく解説したいと思います。また、妻と離婚したい、夫と離婚したい、そう考えている人は、逆にこれを読んで予め対策を考えましょう。
■そもそも離婚は紙ペラ一枚の話。
先ほどの話で言うと、仮にあなた自身も離婚を希望しているのであれば、離婚届にハンコを押してそれで離婚は成立です。ただ、実際はそう簡単にいかないのが現実です。では、実際どのような点で争う事になるのでしょうか。
■「離婚したい」と言われて争いやすい2つの争点とその対策とは。
○その1:離婚をしたくない場合
あなた自身が離婚をせず、もう一度夫婦関係の修復を希望する場合は、離婚するかしないかで配偶者と争う事になります。
最近でいうと、歌手の高橋ジョージさんと三船美佳さんのケースがまさにこれですね。
もしもあなたが離婚を阻止したいのであれば、答えは簡単です。離婚届にハンコを押さなければいいのです。あなたが拒めば、離婚は成立しません。
通常、こうなると離婚したい側が弁護士に相談するか裁判所に調停を申立て、最終的には調停離婚、審判離婚、裁判離婚という道筋を辿る事になります。
【ここがポイント】
あなたが離婚を拒み続ければ、最終的には裁判になります。裁判になった場合、裁判所が判決によって強制的に離婚させられるケースは限られており、このケースの事を「法定離婚原因」といいます。つまり、あなた自身に法定離婚原因に該当する行為がなければ、いくら相手が裁判まで起こしたとしても離婚しなくてすむのです。
~法定離婚原因~
- 不貞行為(浮気や不倫の事です)
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みがない精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由(ここに該当するかどうかで裁判上争われることが多くあります。いわゆる結婚生活が破綻したかどうかです。)
法的には、これらに該当する行為がない場合は、たとえ裁判によっても離婚は認められません。これは相手方が相談に行った先の弁護士も熟知しているはずですので、あなたに離婚原因が一切なければ、その弁護士も裁判では離婚が難しいため、なんとか話し合いで解決するよう相手方に促す可能性が高くなります。
ですから、どうしても離婚したくない場合で、離婚原因に該当しない場合は、ただ拒み続けるという戦法もありといえばありです。
○その2:離婚条件で争う場合
あなた自身も離婚には賛成だとします。もうこんな妻とはやっていけない。そう判断した場合は、離婚するにあたって次の項目について話し合って決めなければなりません。
- 財産分与(婚姻した後に夫婦で築いた財産は平等に分けます)
- 慰謝料(浮気があった場合は相手に請求します)
- 養育費、親権(とくに親権については、離婚届に記載しなければならないため必ず話し合わなければなりません)
ポイントは、これらの条件をしっかりと決めてから離婚届にハンコを押す事です。先に離婚してしまうと、最悪の場合逃げられる可能性もあります。離婚原因がこちらに無いにもかかわらず、あなたが離婚に応じるのであれば、これらの離婚条件の交渉を有利に進めることができます。
弁護士に相談する案件の中には、先ほどのように離婚について争っている場合だけではなく、これらの離婚条件に折り合いがつかなくて依頼するケースも多々あります。
どのような条件で離婚するのかは、その後のあなたの人生に大きな影響を与えますので、慎重に考えるとともに、できれば早めに弁護士に相談しましょう。
■別居した場合の注意点。
もしも配偶者と別居状態に至った場合は、お互いの生活費の問題が発生します。例えばあなたの浮気が原因で妻と子供が家を出て別居してしまった場合、あなたは仕事による収入がありますから生活には困りません。ですが、出て行った妻は専業主婦ですから、当面の生活費に困窮する事になります。
このような場合でも、まだ離婚が成立するまでの間は「婚姻期間」でありその間の生活レベルは、夫婦平等でなければ不公平です。そこで、別居している妻から「婚姻費用の分担請求」をされるケースがあります。
簡単に言うと、「別居しているけど、まだ離婚が成立してないから生活費は送って下さい」という請求を起こす事が出来るのです。どの程度の金額が認められるかは家庭裁判所の判断になりますが、そもそもの別居に至る事になった原因を作った側に対して不利に働くことは言うまでもありません。
そのため、離婚せず別居を選択する場合は、その間の生活費の分担などについてもできる限り話し合って決めておくなどし、裁判によって無駄な労力を使わなくて済むよう事前に対策しましょう。
■離婚問題を弁護士に相談するメリット
離婚問題は互いに譲れないところが出てくると、話し合いが長期化する傾向にあります。そうなると当事者にかかる精神的な負担は計り知れません。そのため、離婚について相手方とすんなり話がまとまらない場合は、必ず弁護士に相談しその後の交渉は弁護士に任せてしまいましょう。
弁護士が介入する事で、感情的な話し合いではなく、法的妥当性のある解決が実現するでしょう。
法律は形式だけのものではありません。出来る限り当人たちのトラブルが無いようにと図られています。ですから、法律のことは弁護士に任せることが望ましいと言えるのです。夫婦の間のことだからと言って、心の奥に閉じ込めてしまわないで、まずは当事務所の弁護士までご相談ください。
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