遺言・証書に印鑑(はんこ)のイメージ

一昔前までは、遺言書というと、テレビドラマの中でしか登場しないような、あまり現実感のないものでした。また、実際に遺言書を作成しようとすると、「縁起でもない」なんてよく言われたりしました。
ですが、最近では相続発生時の争い事を防ぐための、一つのツールとして積極的に活用され始めてきています。

 

そこで今回は、3種類ある遺言書の特徴を分かりやすく解説しますので、自分自身がどの遺言書に適しているのかを探っていきましょう。

 

■自筆証書遺言とは?費用、要件、検認、無効について。

 

あまり費用をかけずに、安く手軽に作成したい。そんな場合は自筆証書遺言がお勧めです。自筆証書遺言とは、文字通り「自分の直筆で直接書く遺言書」です。

最もシンプルでかつ効力のある、今すぐにでも書く事ができる遺言書です。

 

次のことを守って書けば、たとえ弁護士などの専門家に相談しなくとも有効な遺言書となります。

 

○        全てが直筆であり、パソコン等による作成は不可。

○        作成した日付を自書する。

○        自分自身の署名と捺印をする。

 

ときどき、「平成27年吉日」なんて書く人がいますが、これはNGです。ちゃんと日付が特定できるように書きましょう。

なお、これらの規定は民法に明記されていますので、一つでも漏れていれば遺言書は「無効」となりますので、自分自身で作成する際には十分注意しましょう。

 

なお、最近ではこの自筆証書遺言を手軽に作成出来るよう、遺言書作成ツールと言ったレターセットのようなものが書店や文房具店で売られているようです。

ただ、記載する用紙に制限があるわけではないので、便せんに走り書きしても、要件さえ満たしていれば有効な遺言書となります。

 

○        メリット:自分で書くだけなので、手間も費用もかからない。とにかく手軽に作成できる。

○        デメリット:弁護士に相談してから書かないとミスが出やすい。自分で保管しなければならないため、紛失、隠蔽、開封して改ざんのリスクが常にある。また、相続開始後は裁判所で「検認」という手続をしなければならない。

 

そこまで多くの財産はないが、残される家族が揉めないよう最低限の事は書いておこう、そんな場合には低予算で済む自筆証書遺言がお勧めです。

 

効力のある公正証書遺言を作成しよう!公証役場で。

 

弁護士等の専門家に遺言書の作成を依頼した場合は、かなりの確率でこの公正証書遺言を勧められます。

自筆証書遺言はご自身で作成するものでしたが、公正証書遺言は公証役場で公証人が立会いのもと作成します。

 

本人は公証人に自分の希望を口頭や書面で伝えるだけです。あとは公証人が全部代わりに書いてくれます。

 

公証人は元裁判官などが担当していますので、法律に関してはプロ中のプロです。ですから間違えたりする心配は皆無です。

 

また、公正証書遺言の原本は役場で保管してくれるため、自筆証書と違って紛失、隠蔽、開封して改ざんの危険がありません。

なお、控えを2通もらえますので、1通を自分で、もう1通を担当弁護士に保管を依頼するとより確実です。

 

なお相続が開始した場合は、相続人が役場に問い合わせる事で公正証書遺言が残されているかどうか検索してもらう事が出来ます。

さらに、予め公証人という専門家立会いのもと作成しているため、家庭裁判所での「検認」という手続が不要になります。ですから、発見し次第直ちに執行する事ができるため、相続人の負担はだいぶ軽くなります。

 

○        メリット:とにかく確実。原本を役場が保管してくれるため安心。相続開始後も手続がスムーズ。

○        デメリット:作成する際に手間がかかる。弁護士に依頼したとしても、作成日当日には公証役場まで自ら出向かなければならない。また、作成には所定の費用・手数料がかかる。

 

相続財産が多額に上る場合や、相続人同士仲が悪く、相続開始後確実に紛争化が予想されるような場合は、公正証書遺言で確実に残しておく事をお勧めします。

 

■第3の遺言状。秘密証書遺言。

 

秘密証書遺言は、自筆証書と公正証書の中間くらいに位置する遺言書で、公証人には自分の遺言書の内容を知られたくないけれど、公証人のお墨付きは貰いたい、そんな場合に利用します。

 

最大の特徴は、パソコンなどを使用して作成しても有効です。必ず手書きである必要はありません。

自分自身で遺言書を書いて署名捺印をし、封印をした後、公証役場へ出向き、そこへ公証人に捺印をもらいます。

但し、中身は確認しないため、相続開始後の検認手続は必要になります。

実務上はあまり利用される事が少ない遺言方式です。

 

○        メリット:遺言書の内容を知られる事なく、公証人のお墨付きだけ貰える。

○        デメリット:作成時の手続がややこしいわりに、相続開始後も検認をしなければならない。内容をだれも確認していないため、開封したら「無効な遺言書だった」という可能性もある。

 

このように遺言書には法律によって決められた3つの方式がありどれも効力がありますが、原則的にはこのどれかに合致していなければ遺言書として認められません。

 

自分自身がどの遺言書に適しているのかが分からない場合は、それも含め相続に強い弁護士に相談してみましょう。

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