代襲相続と相続放棄のイメージ

■相続放棄で代襲相続はできるのか。代襲相続ってなに?

具体例で考えましょう。もしもご自身のおじいさんよりもお父さんの方が先にお亡くなりになられていたとします。では、この状況でおじいさんが死亡され相続が開始した場合、おじいさんの財産は誰が相続するのでしょうか。

 

■祖父の財産は「代襲相続」により孫が相続する。

まずは代襲相続について解説します(読み方は「だいしゅうそうぞく」です)

代襲相続を一言で言うと、本来相続人となるべき人が、一定の事情により相続ができない場合に、その子供(兄弟姉妹が相続人の場合は甥姪)が代わりに相続人となることです。

「一定の事情」のことを法律的には「代襲原因」と言い、次のようなケースが当てはまります。

○相続開始前に相続人が死亡した。

今回の具体例のように、相続人となるべき息子が死亡している場合は、その息子の子供、つまり被相続人から見て孫が代襲して相続人となります。今回のケースがまさにこれです。

○相続欠格

相続欠格とは、簡単に言うと相続人が相続において「不正な行為」をはたらいた場合に、その相続人の相続権を失わせる制度です。また失った人を相続欠格者と言います。

「不正な行為」は、法律用語で「相続欠格事由」と言い、民法では次の5つが規定されています。

1:故意に被相続人や他の相続人を死亡させたり、死亡させようとして刑に処せられた場合。

2:被相続人が殺害されたことを知っていて、それを告発せず、または告訴しなかった場合。

3:詐欺・強迫により被相続人が相続人に関する遺言を作成・撤回・取消・変更することを妨げた場合。

4:詐欺・強迫により被相続人が相続人に関する遺言を作成・撤回・取消・変更させた場合。

5:相続人に関する被相続人の遺言書について偽造、変造、破棄、隠蔽した場合。

 

これらに該当する場合、その相続人は当然に相続権を失い、その子供(つまり孫)又は兄弟姉妹の場合は甥姪が代襲相続します。

○相続人の廃除

一定の欠格事由に該当する場合に、当然に相続権を失う相続欠格に対し、相続廃除は、被相続人に対して著しい非行を行なった相続人に対して、被相続人自らの意思によってその相続権を失わせる制度です。

具体的には、生前に相続人が被相続人を虐待したり、重大な侮辱などをしたりした場合がこれに該当します。この場合、相続廃除された者の孫、兄弟姉妹の場合は甥姪が代襲相続します。

 

■相続放棄した場合、孫は代襲相続できるのか。

はい、ではいよいよ今回の本題です。

結論から言うと、相続放棄は「代襲原因」ではないので、親が相続放棄をしても、その孫は代襲相続できません

そもそも相続放棄をすると、その相続人は

「はじめから相続人ではなかった事」

になります。つまり、相続欠格や相続廃除のように、相続権を失わせるのではなく、相続人自体ではなかった事になってしまうので、相続人ではない以上、代襲相続は発生しません。

 

■孫への相続、孫に財産を残す方法はないのか。

どうしても子供ではなく孫に直接財産を残したい場合は、「遺言書」を書くことをお勧めします。自分の子供が存命の間、孫については法定相続人ではありませんので、何もしなければ財産を譲り渡す事はできません。但し、生前に『有効な遺言書』を作成し、その中に孫に遺贈したい旨を明記することで、孫にも財産を残す事ができます。

この方法は、相続財産をひと世代飛び越えて移転させる事ができるため、財産の多いご家庭の場合は、相続税対策としても活用できますので、よく覚えておきましょう。

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