親の介護・相続・寄与分のイメージ

先日母が他界しました。父に先立たれた母は、晩年は認知症になり、付きっきりの介護が必要な状態でした。
相続人は私を含め3人娘ですが、私以外はみんな遠方に嫁いでしまったため、母の面倒はずっと私一人で見てきました。
それなのに、法律によれば母の残した3000万円の財産は、3人で3等分になるようなのですが、どうしても納得できません。
親の介護をしていた分、少しは相続分の増額を考慮して貰えないのですか?

 

■特別な事情は、相続分に考慮されるのか?

 

このようなケースでも、相続分が3姉妹平等とすると客観的に見てもかなりの不公平感があります。ですが、いざ相続が開始すると、たとえ身内であったとしても、目の色を変えて相続分を主張してきます。

「お姉さんはお母さんの介護を長年してくれたから、私の相続財産を譲るわ」

なんて言う、優しい相続人ばかりではありません。

 

そこで法律は、このような特別な事情がある場合を「一定の権利」として認め、それを他の相続人に主張できるようにしました

それが「寄与分」です。

 

■寄与分が認められる具体的なケースとは。

 

寄与分が認められるケースは、法律で次のように定められています。

 

1:被相続人の事業に関する労務の提供又は財産の給付

 

これは簡単に言うと、被相続人の店や会社を無給で手伝い続けたなどの事情を言います。単に家業を継いだだけでは認められません。

また、家や店舗の増改築費用を負担したような場合もこれに当てはまります。

 

2:被相続人の療養看護

 

今回の事例は、まさにこれに当てはまります。

 

3:その他被相続人の財産の維持または増加につき特別な寄与をした

 

「特別な寄与」とは、一概には言えませんが、例えば夫婦共働きをした妻の頑張りによって被相続人である夫の財産が増えた、等と言った事情がこれに当てはまります。

 

 

寄与分は、一歩解釈を間違えると、家族としてやって当たり前の事まで金銭的に考慮する事になってしまいます。

法律はそうではなく、あくまで通常以上の「特別な貢献」があった事に対して、利益調整を図ろうとする意味で寄与分を設定しています。

 

ちなみに寄与分は相続人にのみ認められている権利ですので、遺言書で遺贈を受けた愛人などには認められません。

ですから、たとえ愛人が被相続人に対して何かしらの貢献をしていたとしても、寄与分として相続分が増額されることはありません。

 

■寄与分の具体的金額は誰が決める?

 

寄与分は原則相続人全員で「話し合って」決定します。ですから、遺留分のように公式があるわけではありません。

寄与分はあくまで「気持ち」を金額で評価するようなものですから、そこはとことん相続人の間で話し合って調整するしかありません。

 

そうは言っても、いくら話し合っても意見がまとまらないこともあります。そんな場合は、寄与した者からの請求により家庭裁判所が一切の事情を考慮して寄与分を決めてくれます。

 

とは言え、一般の方が家庭裁判所に寄与分の請求を行うというのも難しい話です。ですから、寄与分を請求するケース、話し合いで寄与分が決定できないケースは、弁護士に相談を行うほうが賢明でしょう。まずはお気軽にお問い合せください。

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