事案の概要

住宅ローンの他1250万円の借入金があったところ、退職見込み金1400万円と預金等が229万円あったため、清算価値ベースでの305万円まで圧縮し残額の免除を受け、住宅を守った。

 

相談者

Aさん:50代、会社員、妻

 

相談前

Aさんは、持病の治療のための医療費や気を紛らわすための趣味の旅行費用が工面できず借入を増やし1250万円にまでなったところで住宅ローンが払えなくなり、なんとか家は残す方法はないかと、相談に来られました。

 

相談後

Aさんは、自宅は手放したくないとのことでしたので、住宅ローン以外の借金を減額し分割弁済する住宅資金特別条項付きの個人再生手続きをすることになりました。

問題は1250万円の負債がいくらまで減額できるかでした。原則ですと1/5の250万円(1250万円×1/5)まで減額できますが、Aさんには、1400万円の退職金見込額と80万円の預金と65万円の社内積立金、および84万円の保険解約返戻金がありました。

この場合法律上、退職金見込額1400万円の1/8である175万円と保有している80万円の預金と65万円の社内積立金、および84万円の保険解約返戻金の合計404万円から99万円(法定控除相当額)を引いた305万円(清算価値加算合計額)を返済することが必要です。

 

175万円(退職金見込額1400万円の1/8)+80万円(預金)+65万円(社内積立金)+84万円(保険解約返戻金)-99万円(法定控除相当額)=305万円

 

もとの1250万円の借入金と比べると大幅な減額になりましたが、毎月の返済額を抑える必要がありましたので、通常は返済期間3年のところ、5年返済とした再生計画案を裁判所や債権者に認めてもらい、毎月の返済額を5万円程度に抑えることで家計を立て直す事ができました。

 

弁護士からのコメント

平均的な個人再生では、住宅ローン以外の債務額合計を1/5に圧縮出来ますが、保有財産が大きいと1/5以上の金額を払うことになるケースが出てきます。

具体的には、

清算価値加算合計額>債務額の1/5

になる場合は、清算価値加算合計額を返済しなければなりません。

Aさんの場合、清算価値加算合計額が305万円でした。

いずれにせよ個人再生では一般の借入れを大幅に圧縮して、住宅を守ることが出来ますので、借り入れが家計を圧迫して住宅ローンの返済が苦しい方は、是非、個人再生を検討してみてください。