概略

事業への悪影響を避けるため、銀行系の借入には弁護士介入せずに、消費者金融だけを任意整理し、合わせて過払い金も回収し、返済等に充当した事例

 

相談者

Aさん 40代 男性 自営業者

 

相談前

 理髪店を経営し、事業資金等で銀行から420万円の他、消費者金融4社から230万円を借り入れしていましたが、住宅ローンの負担等から支払がきつくなりました。ご本人は、破産はしたくない、住宅は失いたくない、銀行系に介入すると新規の融資が受けられなくなり経営に差し支えるので、銀行系には手を付けたくない等の要望がありました。

 

相談後

 Aさんの借入総額は650万円になり、消費者金融4社への毎月の返済5万円がきついとのことでした。債務額が多いことから、個人再生をすれば、住宅を維持しながら銀行を含む毎月のすべての返済を3万円まで減らせることができたのですが、事業への影響を考えると個人再生は銀行も巻き込むことになるので、どうしてもできないとのことでした。

 そこで、消費者金融の借入の状況を見るとB社は取引が長く、過払いになっている可能性があることと、A、C、D社もそれなりに元金が減るであろう事が予想され、さらに、完済したE、F、G社に過払いが発生することが確実でしたので、任意整理でも毎月の返済を減らすことができると判断しました。

 整理の結果B社からは過払い金を回収し、C社には、過払い金で一括返済し、A社に毎月1万円、D社に毎月1万5千円の条件で和解が成立しました。回収した残りの過払い金は、弁護士報酬と事業資金に充当できました。

 

弁護士からのコメント

 任意整理では、整理の対象会社を任意に選べることがメリットとしてあげられます。銀行系のローンに介入すると事業に影響が出るので、銀行系は除外したいという要望を持つAさんのケースには、うってつけです。

 任意整理をする場合、利息制限法で引き直し計算をした結果A、C、D社のように元金が減ることがありますが、さらにB社のように過払いになっているケースもめずらしくありません。また、E、F、G社のように完済している会社でも、時効にかからない限り過払い請求できるケースもよくありますので、弁護士に相談するときには、過去に取引のあった借入先もよく思い出すようにしてください。

 Aさんは、相談前にはA~D社に毎月5万円くらい返済していたものが、弁護士に依頼することで、2万5千円になったうえ、過払い金で当面の事業資金を工面することができました。

債権者 借入
時期
相談前
残高
相談後
残高
減額率 過払い金
返還額
毎月
返済額
返済
回数
A社 86万円 30万円 65% 1万円 30回
B社 46万円 6万円
C社 25万円 20万円 20% 0万円
D社 75万円 60万円 20% 1.5万円 40回
E社 0万円 32万円
F社 0万円 47万円
G社 0万円 21万円
232万円 110万円 106万円 2.5万円

※相談前残高が0は、完済のケースです。

※赤字は、過払いが発生した状態です。