何気ない日常生活の中でも、何かしらのトラブルに巻き込まれる可能性があります。そのトラブルも大小様々で、個人で解決できるものもあれば、警察に介入されるものもあります。
トラブルの中でも他人を傷つけたり、万引きをしたりする行為は、「刑事事件」として扱われます。ここでは万が一「刑事事件」を起こしてしまった場合に、どのように弁護士に依頼すればいいか、つまり刑事弁護を受ければよいかを説明します。
■刑事事件とは?民事事件との違いについて
事件には大きく「刑事事件」と「民事事件」の2つがあります。ここではそれぞれの特徴を説明するので、刑事事件と民事事件の違いについて確認ください。
刑事事件とは?「捜査機構が介入する事件」
刑事事件は警察や検察などの捜査機構が介入する事件のことを言います。捜査機構が介入する事案には、例えば傷害や暴行、窃盗や痴漢などが挙げられます。
捜査機構は、こうした事件が発生した際に、被疑者・被告人の犯行を捜査します。またその捜査結果を見て、裁判において刑罰を科すかどうか判断します。
なお、現行の日本の法律では、刑事罰を科すには刑事裁判を起こすほかありません。また、刑事裁判を起こせる人は、検察官に限られています。
民事事件とは?「一般人や企業とのトラブル」
民事事件は一般人や、企業などの組織を相手取り、裁判を起こす事件を言います。例えば離婚や相続、交通事故の慰謝料請求などが民事事件に該当します。
民事事件の場合は、原告(裁判を起こす人)が特定の権利を主張して、被告(裁判を起こされる人)に裁判を起こし、請求を行っていきます。
なお、民事事件では刑事罰に科すことはできません。ただし民事事件であれば、法律に基づいてトラブルを解消させることができます。
■刑事事件の種類
刑事事件には大きく2つの種類があります。それが「身柄事件」と「在宅事件」です。ここでは2つの事件の違いについて説明をします。
身柄事件とは?「逮捕、勾留を行う事件」
身柄事件とは警察によって逮捕され、検察に送致される事件のことを言います。逮捕の種類にはいくつかあり、下記の通りです。
- 通常逮捕…逮捕令状に基づき容疑者を逮捕する
- 現行犯逮捕…警察官の前で犯罪行為をした犯人を逮捕する
- 緊急逮捕…重罪を犯した可能性がある容疑者を逮捕令状なく逮捕する
こうした逮捕後には、警察から検察に送検され、身柄の勾留がされます。次項で詳しい流れを紹介します。
在宅事件とは?「身柄拘束を伴わない事件」
在宅事件とは逮捕されないで、適宜、警察の取り調べを受ける事件のことです。もし、警察の呼び出しに応じない場合は「身柄事件」へと移行します。
なお、警察機構にて捜査書類が整えば、検察機構へ書類送致がされます。その後は、検察官によって起訴、刑事裁判をするか判断されます。
■刑事事件の流れについて
傷害や窃盗といった何らかの刑事事件を起こした場合、捜査機構が介入し逮捕、勾留、起訴といった手続きが踏まれます。ここでは一般的な刑事事件の流れについて解説をします。
(1)逮捕
まず刑事事件を起こすと、警察官によって逮捕されます。そして、逮捕後には警察署内の留置所に身柄を拘束され、取り調べを受けることになります。
なお、逮捕後48時間以内には、検察官に送致されるかが決定されます。そのため、警察は送検するために必要な証拠を取り調べます。また、取り調べの結果、逮捕に誤りがある判断された際には「釈放」になります。
(2)送検
逮捕後に検察庁へ送致された場合には、検察官によって取り調べがされます。この取り調べによって、検察は勾留するかどうかを判断します。
なお、送致後24時間以内に、検察官は勾留するかどうかを判断します。現状の日本では有罪前提で取り調べが行われるため、ほぼ勾留請求へと進みます。
(3)勾留
検察官から勾留請求がされた裁判所は、被疑者を勾留するか、釈放するかを決定します。なお、勾留されることが一般的で、釈放されることはめったにありません。
裁判所によって勾留が決定されると、裁判所より勾留状が出されます。この勾留状が出されると、警察が被疑者の取り調べ、証拠収集を行います。
この勾留期間は原則が10日です。ただし、裁判官が必要と判断した場合には、勾留期間を最大20日まで延長できます。被疑者が否認することが一般的なため、勾留期間は長引く傾向にあります。
(4)起訴
勾留期間の警察の取り調べ、証拠収集状況によって、検察官は被疑者を起訴するか判断します。もし起訴すると判断されれば、裁判官に対して公訴の提起をします。また、証拠不十分である場合には「不起訴」として被疑者を釈放します。
(5)公判
起訴されたら、起訴後勾留、もしくは保釈がされます。そして起訴後1カ月程度したら、公判(刑事裁判)が行われます。この公判によって有罪か、無罪かの判決を受けます。なお、有罪であれば懲役・罰金等の刑事罰も科されることになるでしょう。
■刑事事件における弁護人の役割
刑事事件を犯した際に、「弁護人」によって被疑者の権利を守ることが可能です。この弁護人を呼ぶ権利は憲法でも保障されています。ここでは刑事事件における弁護人の役割を見ていきます。
釈放・保釈に向けた活動
逮捕後、送致後などの段階にて、捜査機構は次に進めるか、釈放するかの判断を下します。弁護人は、その捜査機構の判断時に、「釈放」されるように働きかけます。具体的には、被害者と示談交渉をするなどです。こうした活動によって被疑者を釈放できるようにします。
不起訴処分に向けた活動
起訴されると99%以上の確率で「有罪判決」になります。そこで、起訴されないように被疑者の権利を守るよう働きかけをします。例えば、証拠不十分であることを主張したり、取り調べに対するアドバイスをしたりします。これによって被疑者が起訴されないようにしていきます。
執行猶予に向けた活動
起訴後に刑事裁判を伴うと、基本的には禁錮刑に処せられます。しかし、刑事裁判の判決次第では「執行猶予」を獲得できます。執行猶予を獲得できると、刑務所に入所する必要がありません。
示談処理に向けた活動
被疑者と被害者の間で示談が成立すれば、不起訴処分となり前科がつかなくなります。ただし、被疑者は勾留されているため示談ができません。そこで代理人である弁護人が示談処理の活動をします。弁護人は被害者の連絡先を入手する権利を有しており、連絡を取り合えます。したがって、示談を成立させやすいです。
■弁護人の種類と依頼方法
弁護人には「私選弁護人」「当番弁護人」「国選弁護人」の3種類があります。それぞれの弁護人の説明と、依頼方法について説明をします。
私選弁護人
私選弁護人は、被疑者やその家族が選ぶ弁護人のことです。逮捕、勾留後にすぐに依頼することが可能で、早い段階に依頼すれば釈放、不起訴処分にできる可能性も高まります。
なお、私選弁護人は依頼人が自由に選任できます。そのため、刑事事件に強い弁護人を選ぶこともできます。しかし、弁護士費用も高額になるケースもあるため、依頼する際には注意も必要です。
当番弁護人
当番弁護人は、被疑者が1度だけ呼ぶことのできる弁護人のことを言います。逮捕後に無料で面会してもらえて、対応法などを相談できます。
ただし、相談は「1度きり」に限られています。もし当番弁護人に最後まで弁護をしてほしい場合は、追加で報酬を支払う必要があります。
国選弁護人
国選弁護人は、起訴後に被告人につく弁護人のことです。被疑者が貧困などの理由によって弁護人を選任できない場合に、裁判所によって「弁護人」が呼ばれます。
国選弁護人であっても弁護人の権限は変わりません。したがって、被告人の権利を守るために活動をしてくれます。
■まとめ:刑事事件を起してしまったら弁護士に相談を
刑事事件を犯してしまった人、またその家族に向けて刑事事件の基本と、弁護人の活動・依頼方法を見てきましたがいかがでしょうか。
刑事事件を起こした場合には、いち早く弁護人に相談・依頼をすることが肝心です。その結果、釈放や不起訴処分の可能性が高まります。もし、刑事事件を起こしてしまったら、すぐに弁護士に相談をしましょう。そして、刑事弁護を依頼しましょう。
埼玉県越谷市で刑事事件を依頼するならエクレシア法律事務所へ
埼玉県越谷市にある当法律事務所は刑事弁護についても対応しています。実際に記事事件を犯してしまった場合でも、また逆に、冤罪をかけられた場合でも、まずは早期に本人の身柄を守ることが大切です。そのためにはご家族が刑事事件に強い弁護士に早期に依頼することも大切となります。
越谷市だけでなく、草加市、春日部市、吉川市、川口市、八潮市、三郷市、東京都足立区など、周辺エリアの方も対応可能です。お電話もしくはメールにて承りますので、まずはご相談ください。
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