概略

母親が財産を残さず死亡し2年を経過した頃、銀行から母親の連帯保証債務の督促状が届いたため相続放棄した事案。

 

相談者

被相続人ː母

相続人ːAさん(被相続人の子)長男

Bさん(被相続人の子)次男

 

死亡日ː平成27年1月6日

相続開始を知った日(熟慮期間起算日)ː平成29年3月6日

相続放棄申立日ː平成29年5月1日

相談前

Aさんらの母は平成27年1月6日に死亡しましたが、相続するような財産がなかったので特に相続手続きを取らずにいました。
死亡後約2年を経過した頃、銀行からAさんらに母の保証債務の督促状が届き、慌てて相談に来られました。

 

相談後

督促状によれば、母が叔父の借金の保証人になっていたのですが、Aさんら兄弟はそのことを知らされていませんでした。
しかも、Aさんらは平成15年頃から、それぞれ結婚し独立して生活しており、この債務の存在を全く知りませんでした。
そこで、死亡後3か月を経過していましたが、最高裁判決を適用して、3か月の起算点は保証債務の督促状を受領した時点である旨の上申書を添付して相続放棄を申し立てることにしました。
申立は無事に受理されました。

 

弁護士からのコメント

死亡後(相続開始を知った時から)3か月経過しても相続放棄できる典型的な事案でした。

相続放棄は自分のために相続が開始したことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申立なければなりません。
期間経過後の相続放棄は、多額の負債があることが発覚した場合において相続開始時点では相続財産が全くないと信じたことに相当な理由がある場合に限ります。そうでなければ相続放棄は認められることはありません。

Aさんらは母が生前賃貸アパートでわずかなパート収入で独り暮らしをしていたので財産が無いと思っていましたし、10年以上前から母の元を離れ独立し(被相続人と疎遠であったこと)母の保証債務の存在に気づかなかったといった事情がありました。
その事情を詳しく説明する書面(上申書)を作成し相続放棄申述を申し立て、無事に受理されました。

3か月経過した場合でも相続放棄が可能な事案を多数熟知している弁護士にまずはご相談されることをお勧めします。

 

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