前回、「治療費打ち切り」に対応するには、弁護士への相談、依頼が必要であることをお話ししました。当事務所での扱い事例から、弁護士へ依頼することで、適切な治療の継続ができた例をご紹介します。

治療費打ち切りの相談事例

幅の狭い道路を自転車で進行中後ろから進行してきた自動車に引っかけられ、約15メーター引きずられて右足関節捻挫、右大腿挫傷の怪我を負った事例。ご依頼者は、事故後、6ヶ月間経ったところで、保険会社から「治療費の打ち切り」を通告されてどうして良いか分からず、当事務所に事件を依頼されました。当事務所は、受任後直ちに、主治医と面談して、今後の治療の必要性について、情報を収集しました。主治医は、まだ、治療が必要であることを認めてくれましたので、この情報を保険会社に伝え、治療費打ち切りは、不当であることを訴えました。保険会社も主治医の判断を尊重して、さらに2ヶ月間治療費を支払うことになりました。この事例では、その後、左足関節の疼痛により、「局部に神経症状を残すもの」として、後遺障害の14級が認められました。

弁護士相談が重要

「治療費打ち切り」に対応するには、その後の後遺症の認定も見据えると、弁護士への相談・依頼が重要であることが分かります(望ましいのは、打ち切りを打診されてからではなく、事故にあった初期の段階で相談することです。)。被害者としては、治療の負担と将来への不安を抱えて、藁をも掴む思いでいるところに、「治療費の打ち切り」を言われては、たまったものではないでしょう。

ただ、「私は被害者だから、私の言い分を何でも通すべきだ」という考えは禁物です。治療が必要かどうかは、医学的な見地から客観的に判断するもので、およそ裁判所が認める可能性もない状況で、漫然と治療を継続するのは、かえって、無駄な支出になる可能性もあります。主治医、弁護士と良く相談の上、治療を継続すべきか、示談交渉に入るべきか、後遺障害の認定に進むべきかを考えましょう。
何よりも、被害者の方が適切な治療を受けられ、一日も早く事故の悪夢から解放されることを願っています。